ひとりぼっちは寂しいブログ

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君の名は。に対する思い ※ネタバレ注意

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素晴らしいとしか言いようがない。

2回見に行ってもまだまだ見に行きたい気持ちが衰えない映画。

 

タイトルでしっかり書いてあるのでまどろっこしいことは抜きにどんどん本編の感想に入る。感想というか考察をしたいなと思わなかったというと嘘になるが、身内贔屓無しにこのブログが考察をほぼ完成させてしまっているのでそっち方面で僕の出番は無い。

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では、君の名は。サウンドトラックを聞きながら書きたいと思う。 

 

  • 夢灯籠

突然の夢灯籠+テレビアニメのようなOP映像で幕を開ける。これには少し驚きを隠せなかった。こういったテレビアニメシリーズを彷彿とさせるようなオープニング演出をアニメ映画ではあまり見ないからだ。そしてそもそも主題歌は前前前世だったというのもあり、のっけから違う歌が入るのかと贅沢っぷりにも驚いた。

映像自体もテレビアニメのように「ネタバレ上等!」といった思い切ったもので完全に引き込まれていってしまった。

ああ「願ったらなにがしかが叶う」その言葉の眼を

この歌詞の部分の映像の三葉。驚愕の作画枚数の多さでぬるぬるっと動くので必見。超おすすめシーン。そしてその後の君の名を今追いかけるよで綺麗に始まる君の名は。

 

  • 前前前世

三葉の鬱々とした学校生活や雪野先生の嬉しい再登場、口噛み酒の儀式や瀧くんと入れ替わった先でのイタリアンレストランのバイトなどを経て、BGM「ふたりの異変」での大きな盛り上がりからそのまま繋がるこの前前前世。グッジョブな繋ぎ。流れた瞬間の観衆の気持ちは「きたああああああああああああああ!!!」で間違いないだろう。とてつもない疾走感を持つこのシーン。ここまで楽しげでワクワクした疾走感は見たことがなく、君の名は。のポジティブな部分全てを象徴する名シーン。ここだけでもアニメ映画として莫大な価値がある。

 

  • 御神体

今までとは明らかに雰囲気が違う荘厳なBGM。もちろん入れ替わった瀧くんが口噛み酒を置きに行くシーンだ。三葉のおばあちゃんが、ここから先は幽世、つまりあの世なんてセリフをさらっと言い少しドキリ。さらに何と言っても「あんたいま夢を見ているな?」。夢から?現実から?これまでの楽しげな雰囲気から?一気にヒヤッと引き戻された。ここから何が待っているんだろうと一瞬で考えを巡らせてしまった。

 

  • 消えた町

入れ替わりが起きなくなってからはまさに怒涛。展開の波が押し寄せて観衆をシリアスへとさらう。彗星がこの話で重要な意味を持つのは分かってはいたが…高山ラーメンのくだりや奥寺先輩のかわいさで一笑いありつつも、この絶望のBGMにたどり着く。題名の通り、糸守は跡形もなく消えていた。図書館で知りたくなかった死の事実や旅館での記憶との戦いも壮絶。御神体へ再び向かう瀧を応援する高山ラーメンのおっちゃんと観衆たち。ついつい握り拳を作ってしまう。

 

  • かたわれ時

とうとうやってきた邂逅。実はここのアニメアニメした作画が少しだけ気になったのはここだけの話。他の場面よりもやたらアニメっぽかった。名前を書こうとした瞬間ペンを落とす演出は良かった。悲しかった。本当に出会えた時間がほんの数分だったのがより一層。ここからの展開が、また熱い。

 

  • スパークル

いやあ~…溜める溜める…。めちゃくちゃ長くてめちゃくちゃ最高としか言えない。作戦を実行し町中の電気が消えながら流れるスパークル。町中に偽の避難アナウンスが響き渡りながら流れるスパークル。三葉とてっしーがお祭りの準備にあたっている人たちを避難させようと奮闘しながら流れるスパークル。そして…彗星が落ちてきながら入るスパークルのサビ。前前前世とは質の違う疾走感、いやむしろ焦燥感か。それが僕ら観客を襲う襲う。二度目の観賞ではスパークルが流れ始めてからエンドロール終了まで一生涙をこらえてた。君の名は。クライマックス幕開けの歌。

時計の針も2人を横目に見ながら進む

この歌詞がスーパーお気に入りフレーズ。

 

  • なんでもないや

まさかの瀧くんの就活に若干心を折られながらも、クライマックスになるとなんでもないやが流れ始めた。

いつ聞いても歌の入りがやばすぎる。語彙力を失ってしまう。ここからは涙を止めようがない。不可能と言っていいだろう。初見では、本当に頼むから話しかけてくれ気付いてくれ思い出してくれと願いまくったものだ。瀧くんよく頑張った。秒速5センチメートルを彷彿とさせるシーンが多かったのが非常に印象的。心のぞわぞわが止まらなかった。

さらにエンドロールへの入りのアカペラ。これも素晴らしい。

僕らタイムフライヤー時を駆け上がるクライマー 時のかくれんぼはぐれっこはもういやなんだ

 

 

まとめ

  • CD購入を強く勧める。聞くだけで映画の世界観に浸れる。
  • Another Side購入を強く勧める。映画だけでは説明不足感のあった事柄がまとめて知れる。文章も読みやすい。
  • 何度も何度も映画館に足を運ぶことを強く勧める。いつかテレビなどで見れる時は来るだろうが、この至上の作品を映画館で見れるのは今だけだ。
  • 過去作品を鑑賞することを勧める。自分も秒速と言の葉しか見れていないが、他作品も見ようと思う。君の名は。をさらに楽しむことが出来る。
  • 飛騨に行くことを勧める。僕は行く。
  • イタリアンレストランでバイトをすることを勧める。奥寺先輩がいるかも。
  • 日記を付けることを勧める。朝起きるのが楽しみになる。

 

 

ここからは余談。というのは嘘でむしろここからが本題。

 

君の名は。この作品はハッピーエンドではない。

もちろん街を救って多くの命も救っているのでバッドエンドであるはずはないが、だからといってハッピーエンドだと手放しで喜びたくない。

なぜか。

理由は唯一つ、三葉と瀧の記憶がほぼ戻らなかったからだ。

「何を言ってんだ。記憶は戻ったじゃないか。だからあのクライマックスなんだろう。」という声もあるかもしれないが、確かにずっと何かを探していてその何かというのはお互い、つまり三葉と瀧のことだということはぼんやり分かったんだろう。しかしそれだけだ。結局は名前も思い出せなかった。

真の意味で大衆向けにするのであったら、最後は奇跡で記憶をほとんど、あるいは全て思い出させて終了でも良かった。それくらいの奇跡が起こる、起こってしまうのがよくある大衆映画だ。しかしそうしなかったのは新海誠新海誠たる所以、つまり作家性に出ている。今作は最初から大衆向けにしようという方向で舵を取り全ての要素がそれに寄っていったように思う。RADWIMPS神木隆之介の起用や、元々の上映劇場の今までと比べた圧倒的多さなどだ。だが新海は最後の最後で作家性を忘れなかった。忘れられなかったのか忘れなかったのかは定かではないが。

自分の中では、このことがあるので、君の名は。の大ヒット、そしてラストの展開に対する文句などの少なさは割と自分にとって衝撃的だった。最高のハッピーエンドでなくてもいいのか、それでもここまでウケるのかと。もっとこう…サマーウォーズのような一点の曇りもないハッピーエンドでなくても…いいのかと。ここまで書いて、「そういえば時をかける少女は普通に切ないストーリーだったな」と思い出した。まああれは切なくて良い話として認知されている気がするし…。君の名は。はハッピーエンドみたいな風潮になっているのがあれれ?となっているだけであって。うーん、どうにも大衆向け=完璧なハッピーエンドという固定観念があるのかもしれない…。反省。

 

話の着地点が分からなくなってきたが、一貫して言いたいことは君の名は。は言うほどハッピーエンドではないだろう。」に尽きる。

 

僕みたいに君の名は。に、あまりのめり込み過ぎず、しっかり賢く大衆映画として楽しめた人たちは偉いし、羨ましい。晴れやかな気持ちで映画館から外へと出れた人たちが心底羨ましい。僕はどうしても深夜アニメを見ている感覚が最後まで拭えてなかったのかもしれない。例えるならけいおん!などの一応の終わりがある日常系が近いと思う。2人のイチャイチャっぷりやこの素敵な世界観、それにいつまでも浸っていたい。この映画のクライマックスにはその思いだけが募り、終わってほしくない、一秒でも二秒でも長くこの世界を見ていたい、そんな一心でエンドロール後のCパートも期待してしまった。なんでもないやが流れた辺りでの、第一の僕の祈りは、「この世界観をいつまでも見させてくれ。」というもので流石に叶う筈がないことだと分かっているため僕は第二の祈りをすることになる。それは「頼むから2人の記憶を完全に戻してやってくれ。」だ。しかしその願いすら届かなかった。

 

瀧と三葉が映画冒頭からずっと繰り広げていた、最高に笑え、最高に楽しく、最高の青春は、結末ではもう2人は覚えておらず。それらを覚えているのは観客だった僕たちだけになってしまう。瀧の頑張り三葉の頑張りてっしーの頑張り、一つの町を救った彼らの頑張りはこの世界では当事者でさえも覚えていない。あんなに楽しかった日々、奮闘した日々全てが。こんなに切ない終わりは、なかなかないと思う。

 

これを一番伝えたかった。

そして僕はまた何度も何度も映画館へ足を運び、君の名は。観賞中の一時の幸福感、終了後の永久の喪失感を味わうだろう。