汚物消毒杯 裏側
18時から汚物消毒杯についての軽い打ち合わせというか説明が始まるというLineをもらい、その時間ギリギリにスタジオスカイについた僕。
その日は対戦会も兼ねていたので、12時から既にフリーが始まっていて僕が行った時間にはほぼ満員状態でいい熱気が漂っていた。いつもの大会なら、会場中が若干の緊張ムードなはずが後ろの方の人たちはニコニコとリラックスしている様子。それもそのはず、汚物消毒杯は招待制16名で行われるのだ。
ふと前の方を見ると、明らかに浮ついた様子の招待選手達がいた。僕はゆっくり近付いていく。しかしかめめに気付かれてしまい、「よっ!優勝おめでとう!」と開口一番煽られてしまった。なんでも前日のKENたちとの宅オフ(つー宅かな?)での汚物予想が満場一致でそんぐんだったらしい。これは心外だと「いや、ないないw」と言葉を返すが露骨に焦っている僕。当然自覚していたが、強豪16名を集めてしまうと真っ先に槍玉に挙がるのはキャラも強くなくJPRでも一番下である自分なのだ。
このままじゃいけないと思い、とりあえずみんなを煽り散らす作戦に出る。目に入ったしょーぐんさんをひとまず煽ってみる。「しょーさん!この間は行けなかったけど(闘龍門)優勝おめでとう!」「ありがとう」「今日で2連覇だね!!」しょーさん苦笑いからの「なんていうか、モードに入ってる人と入ってない人がいて全然見分けつかないんだよね」
そう、本当にみんながみんな浮き足立っていて普段通りいればいいのか煽りアクセル全開で行けばいいのか全くわかっていなかったのだ。
ここでたけらさんから汚物消毒杯オープニング、くじ引き、その他諸々の説明を受ける。たけらさんはプレイヤー兼スタッフ兼立案者兼主催と、かかっている重圧もなかなかのものだっただろう、いつものウメブラよりさらに緊張した面持ち。
さらにキシルさんも配信席の前で入念にチェック(段取りとか?)を重ねる。この特殊な舞台での実況はスマブラ界では間違いなく初となるだろうから先人もいない。この企画が成功するか失敗するかは半分くらい自分にかかっている、と語っていたしそれが大袈裟ではないと僕も思っていた。
KENやつー、あばだんごやかめめは流石と言ってもいいだろう。ほぼいつも通りで完全に落ち着き払っていた。プレイヤーとして強いのはもちろん、カメラやマイクにも相当慣れている彼らにとっては余裕のイベントらしい。
では誰が一番平常心じゃなかっただろう?
それは、HIKARU。意外かもしれないが、その緊張は誰の目から見ても明らかだった。ずっと椅子に座り、頭を抱え、「あーどうしよう」「あー緊張する」「あーどうしよう」と延々唸っていた。それを眺めていると段々自分も思考が負のスパイラルに陥っていく。
僕はHIKARUの側を離れ、その他メンバーと談笑しながら、その時を待った。「あと5分です!」とか「あと1分です!」とか聞こえてくる。あれ、そういえばがくとさんはどこにいるんだろう?
そうこうしている内に始まる配信。キシルたけらの2人がゆるやかに、且つしっかりと順序を踏んで進行していく。
インタビュー兼くじ引きは誰からやるのか聞かされていなかった(よね?)ので突然どきどきしてきた。が、先陣を切るのは"理論"のクロ。唐突に白羽の矢が立った割にはあまりに軽妙なトークをするので「やっぱこいつ緊張とか一切しないんかな」とか考えていた。
プレイヤーのインタビュー中は、もうカメラがオンになっていてほとんどの参加者の顔が見れるので自信なさげな顔はしていられない。ちょっと気を使って顔を上げ気味にした。どうでもいい。
ぶっちゃけ自分ももちろんだけれどみんなのインタビューも心配していたのだが、キシルさんがめちゃくちゃ上手く話を誘導してくれて、(キャラきついって切り出し方は多かったけど仕方ないw)たけらさんはどんなことを言っても一観客としてのリアクションを綺麗に取ってくれたのでみんな話しやすかったんじゃないかな?全ての人のインタビューが面白くて普通にうしろで笑っていた。途中でがくとさんをトリに持っていくのが一番おいしいことに気付いた配信席、有能。
対戦自体は全員ガチだった。でも1戦目に関しては全員ガチガチの動き。
いつも以上はおろかいつも通りの動きを出来た人はいなかった。やはり周りがうるさいし自分自身昂っているのもあってコンボもミスるし回避も逃しがち。ちなみにきしゃそんぐんの台待ちは、目の前に置いてあるウェットティッシュを取りながらしていたらきしゃのウェットティッシュ読み空後が刺さりバースト。俺の方見ないで画面見て。実況の「どっちもオタクキーコンじゃん」の流れも対戦中に聞いてて笑いそうだった。
しょーぐんEimは有言実行のしょーぐんと不言不実行のEimの対比が最高で盛り上がったし、ブルードあばだんごで巻き起こった「One more stock!」コールも楽しかったし、Tの煽りも完璧だった。
長かった8試合の1戦目が終わり8人が抜けて8人が残る。
企画を聞いた段階では、「4連敗はしないっしょw」って思ってたし、会場に来てからも「いやー、流石に4連敗はない…」と思っていた。しかし、1敗して敗者ゾーンに行くと同時にとんでもない負の瘴気に当てられ急速に弱気が襲ってくる。やる前は半分になるだけで大したことないと思っていた1敗がこんなに大きかったなんて。
何より対面の勝者側の盛り上がり方がエゲツない。そんなに楽しいの?!って思うくらい盛り上がっててヤバい。勝者側と敗者側の温度差が史上一番大きい大会としてギネス記録に載せてもいい。
企画は進んでいく。
誰もがここで抜けなきゃという気持ちだっただろう。2戦目は1戦目に比べて、動けている人が増えた。というかみんな動けてた。かめめがくとやブルードEimも名勝負だったし、つーFILIPもつーのクラウドが強い。
なんと僕は残ってしまった。残り4人に。
がくとブルードそんぐんFILIP。ここまで順当に進むのか。1先なのに。
だが、FILIPには直近のEVOJAPANで勝っていたし、対ネスは苦手ではない。ブルードさんさえ来なければ優勝はきっとないだろう。と、高を括っていたらブルードさんが負けて上がってきてしまった。非常にまずい。犬には勝てる気がしなかった。絶対に負けられない、そう感じた僕はここで「優勝したら16人分全員のキャラ強者ブログ書きます」と、背水の陣。
試合展開は全てが僕の思い通りに進んでいた。途中までは。
どんどん追い上げてくるFILIPマリオ。お互いがバースト%になってしまうと明らかに不利なので相当焦る。その焦りもむなしく完全に追いつかれてしまう。周りからは(マリオに)上スマコール。負けじと振った頭が相手の上スマに噛み合いバースト。
心底ほっとした僕は一転、満面の笑みで決勝のブルードFILIPを見届けることが出来た。
そこからキシル討伐までの流れは間違いなく、視聴者よりも会場、会場よりも16名の参加者が盛り上がっていた自信がある。大騒ぎして最高に楽しかった。
そしてそれを見てくれた視聴者の人たちも楽しんでくれていたらしい。視聴者数もすごかったとのこと。
タイトルにでかでかと裏側、と書いてみたものの始まる前くらいしか裏側は無く、みんなが配信で見ていた通り、最大にこの企画を参加者たちは楽しんでいた。
参加者が楽しめて、視聴者も楽しめる。
一見簡単なようで案外難しいこれを、高いレベルで成功させた汚物消毒杯は元々の企画の良さ(こくヌキ王国さん)ももちろんだが、参加者16人そしてスタジオスカイのスタッフ、そして何よりたけらキシルの存在が大きかったのではないか。
みんなありがとう。僕からはその気持ちしかない。
第2回が、楽しみだ。
がくとさんも、楽しみだ。
本編
ぱせりまん作成ダイジェスト