贖罪 読んだよ
贖罪 著:湊かなえ
湊かなえと言えば、「告白」という作品を思いつく人が多いのではないか。
「告白」は湊かなえのデビュー作かつ大ヒット作品。オリコンの本ランキング"文庫"部門で歴代1位となった。(現在は永遠の0に抜かれ2位。)映画化も成功し、有名作品として知られている。読んだことがある人もきっと多いのではないだろうか。
そしてこの「贖罪」は3作目。「告白」と同じく、章ごとに語り部が切り替わっていく独白形式をとっている。そのため「告白」が好きな人はおそらくこちらも楽しく読めるだろう。
「贖罪」のテーマも"学校での殺人"だが、裏テーマは"田舎"だ。近年なんとなく田舎に対するふわふわとした憧れや羨望の眼差しが強まっている。そんな中で田舎の閉塞感、息苦しさといった田舎社会のあれこれを書いている。最終章ではある理由があって、特にそれが顕著である。
「告白」と似た形式を取りながら、読者を飽きさせることがない順序立てた話の工夫やそれぞれの章をどうやってその結論に持っていくのかという人々の心の機微を書くのが非常に上手。
僕のお気に入りの章は、「くまの兄妹」。救いようがない。